シャリンノシタ

自転車✖️社労士 しゃりんの日々の奮闘を綴ります。

会社に迷惑かけたくないから労基署には行きたくないって。

「会社に迷惑をかけたくない」という理由から、労基署や労働局へは駆け込みたくない(申告したくない)という意見をよく聞きます。
 
誤解を恐れずに言えば、それって、パートナーからDVを受けているのに警察に行かなかったり、浮気されているのに黙認しているのと同じ。
 
ああ、まだ好きなのね、と思っちゃう。
 
労働契約は会社と労働者が、誠実に、双方が各々の持つ義務を履行することが前提で結ばれています。
労働者が職務怠慢すれば会社が当然のように労働者に注意・指導できるように、会社側が義務を履行しなければ労働者は当然にその是正を求めることができます。
人間関係が信頼で成り立っているように、契約の前提となる義務の履行が覆されようとしているのですから、当然と言えば当然です。
そして労基署や労働局への申告というのは、直接是正を求めてもかなわない労働者に与えられた当然の権利なので、迷惑をかけたくない、という理由で我慢する必要なんて全くないのです。
まあ、「迷惑をかけたくない」という気持ち、わかりますけどね🤣
なんせ就職氷河期世代の社畜出身なもんでwww
 
本来ならば、労働者が労働し、会社が給料を払えばそれで債権債務関係が毎月相殺されているわけで、それ以上でもそれ以下でもないのですが。
生活の糧を給与という形で会社から支えられ、そこに生活の安定を委ね、さらに働きがいや生き甲斐なんかも加わると、債権債務関係以上の「恩義」とか「忠誠心」が生まれ、いつしか冒頭のような気持ちになるのも当然です。
まるでカップルが長く付き合っているうちに、相手がいることの安心感や情、思い出なんかが生まれて、不誠実なことをされても別れがたくなってしまうのと同じようにw
 
もちろん、会社への恩義や忠誠心を否定するものではありません。むしろこう言った思いは生産性を向上させ、自らも成長させる事になるので、こういった思いを持つ事は大いに奨励します。
 
ただ、何かのきっかけで労働環境が悪化し、辛い状況に身を置き、既に会社がすべき義務の履行と労働者が履行すべき義務の履行もしくは享受すべき権利についてバランスを欠いている状態になっているにも関わらず、これまでの恩義や忠誠心から、自らの身を守る行動が取れずに、冒頭で述べたような事になっている人がいる。しかも「会社に迷惑をかけたくない」って言う人って、真面目で自己犠牲の精神に富み、自分の傷に鈍感な人が多い。
 
だから側から見ていると、辛くなるのです。
目の前の、自分の大切にしたい人が自傷行為をしているようで。
 
労働問題において、基本的には自分の身を守る第一歩は自分で踏み出すしかありません。
三者が他人の状況をみて申告に行くことも、拒否してる人の首に縄をつけて申告に連れて行くこともできません。
だから、もし、自分の働く環境が辛いものでバランスを欠いているようであれば、自分の身を守る行動をとって欲しいとおもうのです。
 
ダメな恋愛を続けるが如く、自分の価値を安売りする事はしないように😊